八尾市立歴史民俗資料館(大阪府)

古墳、埴輪、文化財の魅力を
AR技術+動画発信で後世に残す取り組みとは

3つの国史跡を持つ大阪府八尾市。そのうちの1つ、国史跡 心合寺山(しおんじやま)古墳(5世紀前半に築造)出土の『水の祭祀場を表した埴輪』は、家の中に水を引く様子がうかがえる埴輪です。当時は、水を利用した祭祀をおこなっていたようで、水を活用した文化が花開いていたのでしょう。

一口に埴輪といっても、様々な形状のものがあります。なかでも、家の形をした埴輪は珍しいと言われています。そのなかでも1例しかみつかっていない『水の祭祀場を表した埴輪』は、内部を覗いてみたい欲求に駆り立てられます。

今回は、手軽に動画や2DCGなどを活用し、より細かい情報発信が出来る『ブラウザええR』の事例を紹介します。館内紹介などにも活用出来るソリューションです。

家の形をした埴輪の内部構造や屋根の紋様を詳しく伝えたい

大阪府八尾市立歴史民俗資料館に勤務する学芸員の樋口さんは、『水の祭祀場を表した埴輪』の魅力を発信していきたいと考えていました。

ー新たに、『ブラウザええR』を活用したパンフレット制作に取り組まれた理由を教えてください

樋口(敬称略)
以前から『水の祭祀場を表した埴輪』を紹介するパンフレットはあったのですが、もっと埴輪の特徴や魅力をわかりやすく伝えるにはどうすればよいか、と悩んでいました。そして今回、パンフレットの更新時期にあたりましたので、全面的に見直しを図ろうと考えたのです。

『水の祭祀場を表した埴輪』は、家と周囲を囲む塀が表現されており、それらが床面で一体となって繋がっているという構造が大変珍しいのです。また、塀は神社の塀に似ており、屋根の紋様も大変興味深いと思います。

しかし、それらを単に写真、図で紹介するだけでは伝わりにくいと思いました。そこで、パンフレットにスマホをかざすだけで、その詳細を360度、全方向から詳しく動画で確認できればとても分かりやすくなるのではないかと考えました。

ーパンフレットとスマホを連動させるのですね。

樋口
最初は、『水の祭祀場を表した埴輪』を詳しく紹介する動画を作成し、YouTubeで配信しようと考えていました。しかし、仮にYouTubeで配信したとしても、それだけでは十分ではないと思うようになってきました。
『ブラウザええR』を利用し、パンフレット連動で動画配信をする事は、館内で実物を見た後にパンフレットをもう一度見てみたい、動画を知り合いにシェアしたいというような行動をお客様がとってくださるようになるのではないか。そして、それが誘客に繋がる可能性もあるのではないかと考え、今回の仕組みを実践することがベストだと考えました。

細かい情報を動画で伝えるように製作

ー今回、樋口さんご自身も連動動画の撮影にご協力いただきました。作業にあたり、苦労された点はございましたか?

樋口
動画だと、細かい場所の説明をしていくのが難しいと感じました。そこで、静止画像も使いながら動画のシナリオを考えてみました。そのほか、詳細部分を説明する場合は、静止画像に文字を入れて的確に伝えるようにすると、わかりやすく伝えられると思いました。

また、あまり動画ファイルのサイズが大きくなってしまうと再生に時間がかかりますので、動画ファイルのサイズが大きくならないよう、短く端的に伝えることを意識しました。その結果、動画で伝えたい内容が1分弱にまとめる事ができました。『水の祭祀場を表した埴輪』の特徴や魅力を簡潔に伝えることが出来たと思います。

ー連動パンフレットの反響はいかがですか?

反響はいかがですか?

樋口
コロナ禍のため、資料館を再開して間もないタイミングであることから、反響はこれから出てくると思います。

一方、今後のコロナ禍の状況次第では、資料館も閉館、再開が続く可能性があります。当資料館もYouTubeチャンネルを設立しましたので、今後も動画配信を実施していきたいです。そして、今回のパンフレット連動での動画発信とうまく相乗効果が生まれればいいですね。

また、特に年配の来場者の方でもご利用いただけるよう、操作が簡単な仕組みを採用していきたいです。現在は、パンフレットに書かれた操作説明だけでは文字が小さくて気づかない方もいらっしゃるかもしれません。そのため、今後は連動パンフレットを館内で大きく紹介するなど、利用者数を増やす努力をしていきたいです。

今後も、『ブラウザええR』を活用した情報提供を継続

ー今後の取組予定を教えてください

樋口
館内ロビーにある、銅鐸の音を、ぜひ聞いていただきたいです。
これまでは、銅鐸のレプリカを実際に鳴らして、音を聞いていただくことができました。しかし、コロナ禍での感染予防対策の一環として、非接触で音が聞けたら良いのではと考えました。そのため、ロビーに展示している銅鐸の説明板にスマホをかざすと、予め録音していた音を聞いていただける仕組みを準備中です。


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『ブラウザええR』は、動画連携だけではなく、汎用的な情報発信ツールです。
古地図との連携表示や多言語化対応と幅広いご利用が可能です。

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